首筋に、甘噛み。
――ドタドタ、ドタ。
静かな空間に不釣り合いな足音が近づいてくる。
品の欠片も感じられないガサツな歩き方。迷いがないように、一直線で進んでくる音が大きくなるほどに、自分の身体中の血がどっと騒ぎはじめる。
まるで、体内をマドラーでかき混ぜられているような気持ち悪さだ。
来たら、殺す。まじで、殺す。
そんな心の声も虚しく散り、足音と同様にガサツな手つきで生物室の扉が開けられた。
「藤堂先輩!今日こそ私の話を聞いてください!!」
ガラッとスライドした扉は、勢いをつけすぎて戻ってくる。挟まれそうになった女は驚いた表情を浮かべつつも、視線はずっと俺に向いていた。