首筋に、甘噛み。

 
こいつはなんにもわかっていない。

俺のことをストーカーみたいに追いかけ回して、秘密を知られて、それで制御が効かないこんな時でも近寄ろうとしてくる。

血が欲しくて仕方ない。

その白くて柔らかそうな首筋を思いきり噛みたい。

欲望のままに、自分の中から余裕が消えていく。

太陽、十字架、銀の弾丸。

ヴァンパイアが苦手なものは数多くあるけれど、俺にとってもっとも天敵なのは、吉光みずほだ。

妖艶(ようえん)に光る水槽もくすんで見えるほどこいつは眩しくて、身体が仰け反りそうになってくる。

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