首筋に、甘噛み。


相手の血が欲しいと思えば思うほど、この本能は強く反応する。

俺の家系は、みんなそうだった。

両親も、兄貴も、親戚も、欲しいと思った人の血は、見境(みさかい)なくかぶりついていた。

自分の中で沸き上がってくる欲望を抑えられずに、血に目が(くら)む。

その人を自分のものにしたいと、本能的に思えば容赦なく血を吸い上げる。

俺はそんなヴァンパイアの特性が死ぬほど嫌いだ。


口では好きな人と言っても、一度その首筋を噛んでしまえば、次から欲しいのはその人じゃなくて血になる。

喉が乾けば水を飲むように、

腹が減ったら飯を食うように、

血が欲しくなったら吸うみたいな、

そんな、自分の欲求を満たすだけの化け物にはなりたくない。

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