先輩、恋愛はちょっと待ってください!!4
本当はこの気持ちに気付いていたのに……。こんなにも今でもドキドキしてーーー。

「幸野さん、好きです。あなたのアプローチのせいで私、一人前になる前に恋に落ちちゃいましたよ」

私は泣きながら微笑む。恋ってこんなにも悲しいんだ。せっかく好きって言えたのに……。

「すぐりちゃん!」

幸野さんにふわりと抱き寄せられる。私は慌てて離れようとするけど幸野さんの腕から逃れられない。

「ヤダ、離してください……」

「離さない。やっと……やっと……すぐりちゃんからその言葉が聞けたんだから……」

幸野さんの手が震えていることに私は気付く。私の手は自然と幸野さんの背中に触れていた。幸野さんの体がびくりと揺れる。

「すぐりちゃん、傷つけてごめん。俺はずっとすぐりちゃんのことが好きだよ。すぐりちゃんにしかドキドキしないんだ。こんなことしか言えないけど、でも本当にすぐりちゃんのことが好き!」

「幸野さん……」

やっと幸野さんから離してもらえたと思った刹那、唇が優しく重なる。そのまま何度も私は幸野さんとキスをした。
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