白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
それからまた5分くらい。

何もしゃべらないまま、家ばかりがどんどん近くなっていく。

すると今度は、歩きながら稜ちゃんが口を開いた。


「岡田・・・・手、早いらしいから」

「へっ?」


ちゃんと聞こえてたんだ。

ちゃんと聞こえていたんだけど、鈍いわたしはピンとこない。


「・・・・いや、なんでもない」

「??・・・・うん」


するとそこに、試合中の岡田君の言葉が浮かんでくる。


“やきもち”


稜ちゃん、やきもち妬いてるの?

・・・・まさか。そんなことないよ。


視線を上げたときに見えた稜ちゃんの耳の後ろ、少しだけ赤く見えたのは・・・・。

























───きっと、わたしの見間違いだよね・・・・。
 

< 122 / 474 >

この作品をシェア

pagetop