白球と最後の夏~クローバーの約束~
まずはじめに目指したのは、フェルト生地のコーナー。
手ざわりが気持ちいい、フワフワのモコモコの生地が置いてある。
「1年生が15人で、2年生が18人でしょ、3年生が20人、あとは先生とマネージャーが2人。えーっと・・・・」
わたしが簡単な足し算にもてこずっていると、素早くココちゃんが足してくれる。
「53人!」
「さすが理系のココちゃん!計算早いね!」
「まぁね〜」
そこでスカイブルーのフェルトを大量にカゴに入れた。
ココちゃんが「これくらいで足りるはずだよ」って言うから、さらにカゴに入れようとしていたフェルトを棚に戻したりも。
ココちゃんは、計算も早いし空間認識も得意。
だからわたしは、ココちゃんの目分量に絶対の信頼を置いている。
「お守り作るの、あんまり失敗しないでよ? 失敗できるのは多く見積もっても5個までね?」
「は〜い!」
───そう。
青雲高校では、いつからなのか、夏の予選の前にマネージャーが全員のお守りを作ることが習わしになっているんだ。