白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
だけど・・・・。

わたしを見ていたあのグループ。

それから、もし同じ学校の人に見られたらと思うと、メールの返事が書けなかった。

早く返さないといけないのに、指が動かなかった。



それから、返事もできないまま1時間が過ぎ2時間が過ぎ・・・・。

今日は朝からお守り作りをするはずだったのに、机にフェルトを広げたまま、それを眺めるだけで時間が過ぎていった。


チラッと時計を見ると10時10分。

稜ちゃん、ほかの人誘ってもう出かけちゃったんだろうな。

あともう少しの勇気があれば・・・・あともう少し、稜ちゃんと並んで歩けるくらいのふさわしいわたしだったら・・・・。


「はぁぁぁ〜・・・・」


最大級のため息ばかりが勇気の代わりに出てくる。

嫌だなぁ、こんなわたし・・・・。

そんなモヤモヤを吹き飛ばしたくて、ブンブン頭を振ってみる。

そんなときだった。


「あらっ、稜君!今日はどうしたの? 百合子に用事?」


わたしの部屋までばっちり届くお母さんの声で、その動きがピタッと止まった。
 

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