白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「百合子〜!稜君が迎えに来たわよ!何やってるの、早く準備して下りてきなさい!」


さっきより数倍大きな声・・・・と、少し鬼になったお母さん。

分かってるよ〜!

でも、もうすぐそこに稜ちゃんがいるのにまだ迷うわたしがいる。

なかなか腰が上げられない。


すると───・・


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2009/5/6 10:13
FROM:稜ちゃん

すぐ終わる

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携帯にメールが届いて、開くと稜ちゃんからの短いメッセージ。

絵文字も顔文字もないシンプルなメールが、急いで打ったことを物語っていた。


1階に耳を澄ますと、お母さんが稜ちゃんを家に上げようとしている声が。

稜ちゃんが家の中に・・・・!

何年ぶりだろうっていう感動と、もう隠れていられないという思いと。

・・・・どうか誰にも見られませんようにっ!


「すぐ行くから!」


神様に祈って、急いで出かける支度をした。


こんな滅多にない絶好のチャンスって、そうそう巡ってくるものでもないよね?
 

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