白球と最後の夏~クローバーの約束~
ココちゃんだって言ってたもん。
“もっと積極的に”って。
よしっ、ここは!
最後に鏡の前でほっぺをパチン!と叩いて気合いを入れて、ようやくわたしは部屋を出た。
急いで階段を下りていくと、リビングで稜ちゃんがお父さんとお母さんと楽しそうに談笑していた。
階段を転がるように駆け下りるその音に気づいて、稜ちゃんがわたしに視線を滑らせる。
「おせぇっつーの!」
白い歯と特徴あるかわいい八重歯をのぞかせて、ニカッと笑ってくれた。
「ごめんっ!」
わたしもつられて笑顔になった。
それからすぐに家を出た稜ちゃんとわたし。
一緒に向かった先は、昨日ココちゃんと行ったショッピングモールだった。
稜ちゃんと駅まで並んで歩いて、一緒に電車に乗って・・・・。
最近、妄想でしか考えたことがなかった夢みたいなことばかりが起きているから、幸せだけど逆に怖くもなるわたし。
2日連続でモールに来たことは、特に問題じゃないんだ。
稜ちゃんの隣にいると、全然違う世界に見えるから。