白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
でも、どうして稜ちゃんはわたしを誘ったの・・・・?

考えても考えても分からなくて。
それでも本人に聞けなくて。

ねぇ稜ちゃん、どうしてなの?


「───・・い、これとこれ、どっちがいいと思う?」


どうしてなのかなぁ・・・・。

隣で何を買うか真剣に悩んでいる横顔が幻みたいだよ。

本当、嘘みたい。


「おいってば!」


・・・・はっ!な、なに!?

ぼーっとそんなことを考えていると、ちょっと語気を強めた稜ちゃんの声が頭の上から聞こえた。

その声で、やっと我に返る。


「・・・・へっ?」


でも、我に返ったはいいものの、全然聞いていなかったわたしはマヌケな返事。

・・・・アホっ!わたしのアホっ!


「あのな、よく聞けよ? これとこれ、どっちがいいかって聞いてんの」

「あっ、ごめん。・・・・えっとね、こっちのピンクがいいかな?」

「分かった。買ってくるからちょっと待ってな」

「うん・・・・」


・・・・しまったぁ。またやっちゃったよ、わたし。本当、アホ。
 

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