白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「あたしの見る目はすっごい確かなんだよ〜? あれ、百合、知らなかったっけ?」


なんてとぼけて言って、ココちゃんはいたずらな笑顔で笑った。


───・・


あれから眠れないほどに考えていたんだ、稜ちゃんがわたしを誘った理由。

母の日のプレゼント、稜ちゃんはいつも1人で買いに行っていた。

それが、今年はわたしを誘ったとすると・・・・。

もしかしたら、ココちゃんの言った通りに脈アリなのかな?


それに最近の稜ちゃん、前みたいに“野球が俺の青春だ!”って全面に押し出す感じじゃなくなった気がする。

いやっ。

一番力を注いでいるのは野球だけど、それだけじゃないような気が・・・・しないでもない。


“やきもち”

“デート”


この2つの言葉を思い出すたび、胸いっぱいに甘酸っぱい感情が込み上げる。

そういえば・・・・。

メールを返さなかったことも、リビングで待たされたことも、稜ちゃんは怒っていなかった。


“これから”


・・・・きっと期待しちゃうんだろうな、これからのこと。
 

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