白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
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そうは思っていても、期待と現実とは違うもの。

それから何も起こらず2週間が過ぎようとしていた。


5月ももう中旬に入って、よりいっそうグラウンドの青葉は深い色になっていた。

ゴールデンウィークのときのデート・・・・っぽいものは、幸い誰にも見られていなかったみたいで。

相変わらず、稜ちゃんを見つめる毎日が続いていた。


これからは、夏の予選に向けてもっともっと練習していく時期。

部員みんなが一丸となって毎日の厳しい練習をこなしている。


ココちゃんには、こう言われた。


「もっと近づきなよ。絶対脈アリなんだからモタモタするんじゃないのっ!」


って。

だけどわたしは、呆れられるくらいに何もしていない。


稜ちゃんのほうもそうだった。

あれは夢だったのかも・・・・って本気で思うくらい、いつも通り、何も変わらず。

4月に自転車の後ろに乗っけてもらったときのことより、もっと前に戻っちゃったみたい。

それほど、本当に何もなかった。
 

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