白球と最後の夏~クローバーの約束~
「───・・なぁ、マネージャー」
ビクッ!
突然の声に体が跳ねる。
1人で笑ってたこととか、変な妄想してたこととか、気づかれてないよね!?
声の主は、顔を見なくても分かる・・・・わたしを“マネージャー”って言うのは1人だけだから。
何食わぬ顔を作って振り返ると、換気のために開けっ放しにしていたドアの前に立っていたのは・・・・やっぱり稜ちゃんだった。
「はいっ、なんデショウ?」
でも、どうしてかこうなっちゃうんだよな。
不意打ちじゃん!忍者じゃんっ!って、また片言の日本語になりながら、思いっきり心で叫んだ。
いつからそこに立っていたのか、その気配にすら気づかなかった。
稜ちゃん、やっぱり忍者・・・・?
「薬箱、取ってほしいんだけど」
そんな動揺しまくりのわたしにはノーコメントで、稜ちゃんがさらりと言う。
「えっ!? どこかケガしたの!?」
動揺なんか一気に吹き飛ぶに決まってる、そんなこと言われたら。
稜ちゃんにもしものことがあったら・・・・。