白球と最後の夏~クローバーの約束~

キラキラ・:*:・゚☆

 
「百合、ほんとに最近キラキラしてるね。まだ梅雨だってのに百合だけもう夏だよ、ったく・・・・」


梅雨のジメジメした気候に苛立ちながら、ココちゃんがため息混じりに言う。

稜ちゃんとの父の日の約束から、また2週間くらいが経っていた。


ココちゃんに言わせると、梅雨は“憎き敵”なんだって。

「ショートカットなのに髪がボワッってなる!」って、連日ボヤいている。


「そう見えるかな? これでも意識しないようにしてるんだけど」


ココちゃんに言われて、照れながら答えるわたし。

でも“意識しないように”って言ったわりには顔が自然とにやけてきちゃう。


「意識するとかしないとかじゃなくて、百合の場合は無意識だよ。もうつき合っちゃえばいいのに。あー、じれったい」


ココちゃんは、あからさまに大きなため息をもらしてそう言う。


「ちょっ・・・・ココちゃんっ!みんなに聞こえちゃう!」


“つき合っちゃえば”に、どうしても体が敏感に反応してしまう。

思わずガバッ!と机に伏せて、キョロキョロ警戒してしまった。
 

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