白球と最後の夏~クローバーの約束~
第2球。
ブンッ!
パシッ!
また空振り。
第3球。
ブンッ!
パシッ!
あ、また空振り。
北星の先頭打者は、3球空振りの三振に倒れた。
次のバッターも、またその次のバッターも、同じく3球三振。
1回の表はあっという間に終わってしまった。
「稜君のリード抜群だなぁ。将来は大物になるんじゃないか?」
わたしのお父さんが感心した様子で稜ちゃんのお父さんに言うと。
「うちの稜なんてまだまだ。ピッチャーの子の肩がいいんだよ」
と稜ちゃんのお父さん。
わたしのお父さんも稜ちゃんのお父さんも“超”がつくくらいの野球バカだったから、2人ですぐにあれこれと盛り上がりはじめた。
そんなお父さんたちの影響からなのか、お母さんたちも案外野球に詳しくて。
今の守備についてのことだったり裏の攻撃のことだったりと、4人でワイワイ話しだした。
わたしだけ野球のおもしろさが分からないものだから、なんだか仲間外れにされた気分でもっとすねてしまった。