白球と最後の夏~クローバーの約束~
わたしは、最初のほうだけ部活に出て、あとは教室で応援グッズ作りを再開することにした。
今日の目標数にはまだ足りていなくて、自習時間におしゃべりしたことをちょっと後悔・・・・。
笹本先生にも事前に話してあって「行ってきます」って言えば「おぅ!」と二つ返事ですんなり抜けられた。
放課後の教室───・・
濃いグレーの雨雲のせいで、まだ4時半だというのに薄暗い。
教室には誰も残っていなくて、妙にシーンとしている。
電気をつけて自分の席に向かう。
そんな教室に1人でぽつんといると、なんだか心細くなって・・・・。
そんな心細さを紛らわすために、フッフ〜ン♪なんて即興の鼻歌を歌いながら、スカイブルーのフェルトに針を通していく。
すると・・・・
「いてっ!」
あぁ、わたしって不器用。
ゴールデンウィークのとき、ココちゃんとモールで話した先輩マネージャーほどじゃないけど、わたしもあんまりお裁縫は得意なほうじゃなくて。
開始早々、左手の人差し指の腹に針をプスッと刺してしまった。