白球と最後の夏~クローバーの約束~
「はぁあ〜・・・・」
ため息をつきながら、しかたなく持っていたばんそうこうを貼る。
・・・・高いやつなのにな、これ。
キャラクターものが好きなわたしは、高いと分かっていても財布の紐が緩くなっちゃうんだ。
「これで何枚目かな。ごめんね、ミッキー。君を使うのはとっておきのときって決めてるのに、どうでもいいときに使っちゃって」
わたしの指に巻かれたおどけた顔のミッキーが、少し残念そうに見えた。
「稜ちゃんに貼ってあげたいのになぁ、このばんそうこう・・・・」
そんな独り言をブツブツ言いながら、またフェルトに針を通しはじめたときだった。
「おっ、いたいた!稜から伝言。なんかよく分かんねぇんだけど、てるてる坊主作っとけって!」
・・・・岡田君。
ここまで走ってきたんだと思う、ちょっと息が弾んでいた。
「・・・・てるてる坊主? キ、キャプテンが?」
いろんな意味で驚いて、目を丸くしながら聞き返すわたし。
岡田君は、少しどもったわたしにニャッっと笑って話を続けた。