白球と最後の夏~クローバーの約束~
「なんだよ、それ」
少しムッとなった岡田君。
“お節介”がイライラポイントになったらしい。
でもわたしは、それには構わず強気に言った。
もう、胸の中のモヤモヤした気持ちを止められなくなっていた。
「鶴折るの手伝ってくれたり、部室の掃除手伝ってくれたり、わたしにばっかり任せないでよ」
・・・・言ってしまったあとに、ものすごい罪悪感と後悔が襲う。
でも、もう取り消せない。
なかったことになんて、できるわけがない。
空気を伝って、わたしの声ははっきりと岡田君に届いてしまった。
「・・・・」
岡田君は何も言わない。
「ごめん。ちょっとトイレ・・・・」
そんな岡田君を残して、わたしは逃げるようにトイレに走った。
わたし・・・・いつものわたしじゃなくなっちゃったみたい。
本当は、岡田君が手伝ってくれないことなんて関係ないのに。
でも、だったらなんで・・・・?
───パタン・・・・。
力なくトイレのドアが閉まる。