白球と最後の夏~クローバーの約束~
そんなわたしのことなんてお構いなしに、野球に夢中の両家の両親たちは盛り上がり、試合は裏の四つ葉の攻撃に入る。
1番バッターは稜ちゃん。
四つ葉でレギュラーになったときから、稜ちゃんは1番バッターに決まっていた。
バッターボックスの、向かって左側で構える稜ちゃん。
すごい気合いの入りよう。
「初球から打つ気でいるんじゃないか、稜君」
と、わたしのお父さん。
「いや、見逃すだろ」
と、稜ちゃんのお父さん。
どっちでもいいから早く家に帰ってアイス食べたいなぁ、と思うわたし。
そのとき・・・・投げた!
カキンッ!
「「あ〜、ファウルかぁ・・・・」」
ため息混じりのお父さんたち。
稜ちゃんは初球から勝負に出た。
ファウルボールは一塁側の白線を大きく外れて飛んでいった。
稜ちゃんが再び構えると第2球。
ピッチャーが大きく振りかぶって・・・・投げた!
カキンッ!
惜しいっ、またファウル。
今度は三塁側の白線に沿ってボールが飛ぶ。