白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「っ・・・・グスッ・・・・ううっ・・・・」


トイレ中に響く、水の音とわたしが声を殺して泣く音。

パッと目の前の鏡を見ると、涙で潤んだ真っ赤な目のわたしがじっと見つめ返していた。

それから、濡れた前髪からしたたり落ちる水が、蛍光灯の明かりでキラキラ光って見えた。



─・・

───・・・

────・・・・



10分か20分か・・・・それくらい泣いたあと、謝りたくて急いで教室に戻った。

だけどそこには誰もいなくて、岡田君が座ったはずのココちゃんの椅子は、きちんと元の場所に戻っていた。


自分の席まで歩いていくと、机の上にルーズリーフの切れはしが置いてあるのに気づいた。


『てるてる坊主よろしく。あと、なんもしなくて悪かった。これからは気をつける』


それは、岡田君の走り書き。

もともと右上がりで書く特徴ある字をもっと上げて、殴り書きに近い感じで書いてあった。


「・・・・ごめんね、岡田君」


そのメモを見て、止めたはずの涙がつぅーっとほっぺを伝った。





 

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