白球と最後の夏~クローバーの約束~
ツーストライク、ノーボールのドキドキの場面、稜ちゃんはギリッとバットを握り直した。
そして、ピッチャーが大きく振りかぶって・・・・第3球!
カッキーーーーンッ!
「お〜!」
「すげ〜!」
稜ちゃんが打ったボールは、大きな放物線を描いて空に吸い込まれていく。
特大のソロホームラン!!
外野の選手たちの頭上をはるか高く越えて、ボールは奥の草むらのほうへポトッと落ちた。
ボールの行方を目で追っていた観客たち、特に四つ葉チームの応援側からは、大きな歓声と拍手がわき起こる。
たった今の今まですねていたわたしでさえも、稜ちゃんが放った特大ホームランのすごさに胸が躍るのを感じた。
拍手と歓声の中、稜ちゃんはニコニコと笑いながらダイヤモンドを一周していく。
照れながら、それでいて、自信満々なニコニコ笑顔だった。
稜ちゃん、すごいんじゃん!
詳しい野球のルールは知らなくても、ホームランがすごいことだってことくらいは分かるもん。
このときの稜ちゃんはすごくキラキラしていた。