白球と最後の夏~クローバーの約束~
「もう知らないっ!」
そう言って、わたしはプイッ!とそっぽを向いた。
そうすると、ちょうど信号が青になったみたいで、また車が走りだした。
「誰に似たんだか怒りだしたら頑固でね、これがまた。稜君も手を焼かされてないか?」
わたしのことなんてそっちのけでお父さんはさらに言い続け、あろうことか稜ちゃんにまで話を振る始末。
「ははっ・・・・どうでしょう? 僕はまだ怒られたこと・・・・ぶはっ!ないですから」
・・・・稜ちゃん、なんでそこで吹き出して笑うかな。
わたし、おもしろいことなんて全然言ってないのにっ!
お父さんの話になんか乗っちゃダメなんだってばっ!
わたしだけプンスカ怒って、男2人は何がツボなんだかずーっと笑ってる。
なにこの変な空間・・・・。
それからはもう、お父さんはもっと調子に乗るわ、稜ちゃんは笑いが止まらないわで・・・・。
家に着くまで、わたしはブスッと膨れたまま一言もしゃべらなかった。
・・・・正直、稜ちゃんと帰ったほうがまだましだと思った。