白球と最後の夏~クローバーの約束~
「あっ・・・・!」
なんていう偶然なんだろう。
カーテンを閉めようとしていた稜ちゃんとちょうど目が合った。
ガラガラと窓を開ける稜ちゃん。
寝るとき用なのかな、ここから見てもだいぶヨレヨレのトレーナーを着ていた。
そんな感動を覚えつつ、わたしも急いで窓を開ける。
まだまだ雨はどしゃ降りで、お互いの部屋からもれる明かりで、雨のラインがはっきり見えた。
「────?」
稜ちゃんが何が話している。
でも、屋根に打ちつける雨の音があまりにも強くて、稜ちゃんの声が聞こえない。
わたしが“へっ?”という顔をすると、稜ちゃんは“ちょっと待ってて”とジェスチャーをして、部屋の中に消えた。
何秒かすると再び窓辺に現れて、手には携帯を持っていた。
それを指差しながら“電話で”と口パクをする。
“うん”と頷いて、わたしも急いで部屋に取りに走った。
携帯を手に取ると、稜ちゃんからの着信。
稜ちゃん用に設定していたけど、一度も流れたことのなかった、わたしが一番好きな着うたが流れだした。