白球と最後の夏~クローバーの約束~
はじまり・:*:・゚☆
ヴォォォーッ・・・・
ヴォオン、ヴォオン・・・・
ある晴れた日曜日の朝。
トラックの大きなエンジン音と黒い排気ガスとともに、稜ちゃんがわたしの家の向かいに引っ越してきた。
それは、わたしがまだ泣き虫でお母さんにベッタリの幼稚園児だった5歳の頃。
そのとき確かお父さんは・・・・。
「暴走族かっ!?」って言って、慌てて家を飛び出していったっけ。
「百合子、お母さんについていなさいね」
お母さんもお母さんで、わたしをきつく抱きしめていたっけ。
今考えたらさ、朝に暴走族っておかしいよね?
でも、わたしの家族は本当に驚いていたんだよ、稜ちゃん。
それからだったよね。
わたしが稜ちゃんと仲良くなりはじめたのは。
稜ちゃんは、わたしより体は小さいくせに気が強くてさ。
なんだか“俺様”みたいで最初は怖かったんだよ。
だけどさ。
だけど・・・・。
わたしは、そんな稜ちゃんに恋をすることになったんだ。
わたしの初恋は、誰に言っても恥ずかしくない稜ちゃんなんだよ。