白球と最後の夏~クローバーの約束~
それからの試合はシーソーゲームだった。
1回の裏の得点は稜ちゃんのホームランの1点。
3回の表に、北星のヒットと四つ葉のエラーで1点を返された。
同点のまま後半戦に入って、いよいよ最終回という白熱の場面。
両チームとも、すごい量の汗をかきながらの試合で。
それまで“どっちが勝ってもいいや”なんて思っていたわたしも、いつの間にか手に汗握って稜ちゃんのチームが勝ちますようにって祈っていた。
表の攻撃は、1回の表のように北星のバッターは3球三振。
残すは四つ葉の攻撃。
8番から打席が始まって、9番、1番に回ってくる。
前の2人がアウトになったら、もしかしたら稜ちゃんで最後になるかもしれないという緊迫ムードの展開だった。
まずは8番の子。
パシッ! パシッ! パシッ!
あぁ、もったいない。
見逃しの三振だった。
次は9番の子。
カキーーン!
打ったはいいけど、高く打ち上げてピッチャーフライになってしまった。
残すは、ただ1人ホームランを打った稜ちゃんだけだ。