白球と最後の夏~クローバーの約束~
“稜ちゃん”って言うつもりはなかった。
いくら心で言っていたって、絶対に本人の前では言わないはずだった。
なのに、本当にどうしちゃったんだろう・・・・。
心臓がバクバクして、体中から火が出そうで。
それでも稜ちゃんの“おやすみ”に安心している。
“好き”
その気持ちに、わたし自身、もう我慢できなくなっているのかもしれない。
3年生になって急激に接する機会が増えたから、止められないところまで来ているのかもしれない。
3年生になるまでは、遠くからでもいいから見ていたかった。
ただ見ているだけでよかった。
恋をしているけど、実際には憧れの部分も多かったから。
でも今は、そんな“憧れ”だけじゃなくなった。
稜ちゃんの近くにいたい、稜ちゃんの“特別”になりたい、稜ちゃんにもわたしを見てもらいたい。
・・・・そう思う自分がいる。
そんなふうに、わたしはどんどん欲張りになっている。
“わたしだけの稜ちゃんでいてほしい”なんて、そんなことを思うときもあるくらいで。