白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
大したことじゃないんだろうな、なんて身構えずにいると・・・・。


「あたし、岡田とはもう終わってんの。去年の夏に」


・・・・はいっ?


「え? え? は・・・・初耳だよ、それっ!」


ココちゃんのあまりにも突然な告白に、わたしは椅子から転げ落ちそうになった。

ココちゃん、彼氏がいる素振りなんて全然見せなかったのに・・・・。


「だって言ってないも〜ん」


そう言うココちゃんは、語尾に音符マークでも付ける勢い。

それから、舌を出して、かわいらしくテヘッと笑う。

そんなココちゃんを見ていたら、わたしの頭は変な方向に働いてしまった。

今まで泣いてたことなんてすっかり頭から抜け落ちて、ココちゃんの恋愛事情に頭がすり変わっちゃったんだ。


例えば、いつからで、どれくらいつき合っていたのかな? とか。

今の2人の関係は? とか、つき合っていた頃はどんな会話をしていたの? とか。

それから・・・・どういうきっかけで別れたのかな? とか。

そんな質問が、次々に頭に浮かんでは消えていった。
 

< 217 / 474 >

この作品をシェア

pagetop