白球と最後の夏~クローバーの約束~
「あたしだって百合に言ってなかったんだから、これでおあいこだよね?」
そう言うココちゃんは、わたしにいたずらな笑顔を向ける。
「そうだね。おあいこ!」
わたしも、同じようないたずらな笑顔をココちゃんに返した。
“今は、ココちゃんの恋愛話は聞かないでおくね”
そう、心で思いながら。
何かと秘密主義なココちゃんのことだもん、わたしがあれこれ聞いてもはぐらかすだろうからさ。
いつか話してちょうだいね。
「だからね、百合が悩むことはないの。あたしに気を遣ったり、裏切ってるって思うことはないの!分かった?」
なんて思っていると、ココちゃんが熱く語る。
「うん、分かった」
「念を押して言うけど、岡田のことは本当に何とも思ってないからね?」
「うん、もう分かったって!」
それからのわたしたちは、これからも変わらない友情を確かめ合うように2人で笑いあった。
「百合の早とちり〜!」とか「ココちゃんだって言ってくれなかったじゃん〜!」とか、そんなことを言い合いながら。