白球と最後の夏~クローバーの約束~
「あ、父の日のプレゼントを選びに来たんですけど、オススメのネクタイはありますか?」
今までのふざけた様子が嘘のように、急に真面目になって聞く稜ちゃん。
「はい、それならこちらの商品が人気ですよ?」
「へぇ〜」
そして、稜ちゃんと店員さんはすぐに話し始める。
若い女性の店員さんだから、わたしはちょっと妬ける。
しかも店員さん、稜ちゃんにネクタイ当てて合わせてる・・・・!
羨ましい。
店員さんになりたい。
ネクタイになりたい・・・・。
はっ!
ダメダメ!
「こっちもいいんじゃない?」
店員さんに負けていられないと思ったわたしは、適当につかんだネクタイを稜ちゃんに見せた。
「あ・・・・」
やっちゃった。
でもそれは、わたしがさっきまで“微妙”って言っていたキャラクターもので。
しかもまたウルトラマンで・・・・。
一瞬で固まるわたしを見て、稜ちゃんも店員さんも「ぷっ!」って笑って。
・・・・わたし、カラカラ空回り。