白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
そうしてすぐに、わたしは“善は急げ”とばかりに携帯のメール画面を開いた。

ココちゃんには“話したら?”って言われたけど、やっぱり電話では言えなくて。

こういうときにすごく便利なメールに、わたしの気持ちを乗せることにしたんだ。


お気に入りのプーさんのぬいぐるみを抱いて、ベッドにちょこんと腰掛ける。

そして、ふぅーっと大きく深呼吸をしてから、ピコピコと文章を打ち込んでいった。


━━━━━━━━━━

2009/6/20 22:17
TO:稜ちゃん

今日は早く切り上げて
ごめんね。

駅ビルの中、もっと見
て回りたかったよね。

でもなんか・・・・。

わたしがネクタイ選ん
であげたかったのに、
店員さんと仲良くして
たから、それが少し嫌
だったんだ・・・・。

本当にごめん。
今日のことは気にしな
いでね。

━━━━━━━━━━


そこまで無意識に打ち込むと、とたんにハッ!と正気に戻る。


「・・・・なにこれ」


なんか変、このメール。

絶対に変、このメール。
 

< 266 / 474 >

この作品をシェア

pagetop