白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
稜ちゃんは、モゴモゴと口ごもりながらそう言ってくれた。


「・・・・ううん、ごめん」


わたしはそう言うのがやっとで。


稜ちゃんが、どうしてわたしが落ち込んでいたのかを考えてくれていたんだ。

そのことが嬉しくて。

そして、いつも自分のことしか考えていなかったわたし自身が嫌になって。

うれし涙と悔し涙が同時に押し寄せてきて、いつの間にか携帯を握りしめてポロポロ泣いていた。


ついこの間、虹にも誓いを立てて“もう泣かない”って決めたばかりなのに・・・・。

“不安でも好きでいたい”って、ココちゃんにもそう言ったばかりなのに・・・・。

弱すぎだよ、わたし。


『ちょっと窓開けてみ?』


すると、電話越しで泣いてしまったわたしを気遣ってくれているのか、突拍子もなく稜ちゃんがそんなことを言い出した。


「・・・・ふぇ?」


わたしは、鼻水が出てきたせいで鼻づまりの情けない声。


『いいから。いいもんやるよ!』


そう言う稜ちゃんは、なんだか楽しそうで、少し照れた声だった。
 

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