白球と最後の夏~クローバーの約束~
「なんなんだろう・・・・」
そう言いながら今さっき握った手を開いてみる。
「あっ・・・・」
そう驚きの声をもらしたあとは、何も言葉が出てこなかった。
だってこれは───・・
わたしが作ったてるてる坊主。
そういえば、今日の部室にはこの前吊したてるてる坊主がなかったような気がする。
そうすると、わたしが知らない間に稜ちゃんが持って帰ってたってこと・・・・だよね?
でも、どうして?
頭が混乱する。
そして、さらに頭を混乱させるものがもう1つ・・・・。
てるてる坊主の首に付けられた、小さなメモ紙だった。
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稜貸し出し券
回数無限
無期限有効
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昔、敬老の日になるとおじいちゃんやおばあちゃんにあげた“肩たたき券”みたい。
そんな券を作ってくれて、わたしが作ったてるてる坊主も持っていてくれて。
それを寸分の狂いもなくわたしの手元に投げてくれて・・・・。