白球と最後の夏~クローバーの約束~
実際のところは、ボチボチやるどころか何もないわけで・・・・。
少し近づけたのかと思えば、そんなことはないとばかりに急に遠くなる。
わたしは変わりなく稜ちゃんを見つめる毎日で、稜ちゃんは変わりなく野球に打ち込む毎日。
これといって変化はなかった。
それから、試験の1週間前から部活が禁止になっていて、今はなんとなく活気に欠けるんだ。
そのせいなのか、自分で自分を活気づけたいのか・・・・ココちゃんはいつも以上にちょっかいを出してくるのが難点。
放課後のチャイムが鳴れば、生徒たちはそそくさと帰っていく。
ココちゃんのところの吹奏楽部の音も聞こえないし、テニス部やサッカー部の姿も校庭にはない。
そして、何より野球部の音が聞こえないのが寂しい。
例えば、ランニングのときの掛け声とか、バッティング練習のときのカキンッ!というバットの音。
そういう音を身近で毎日聞いていたから、耳から離れなくて。
それに一番は、一生懸命みんなを引っぱっていく稜ちゃんのたくましい姿、それが見られなくて余計に寂しいんだよね・・・・。