白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
わたしの胸は、この時期になるといつもドキドキとワクワクでいっぱいになる。

去年も一昨年も、毎年そう。

稜ちゃんを“男の子”と意識しはじめた11歳の夏、そこからずっと変わらないこと。

それが今年で最後になるのかと思うと寂しいけど、それでもやっぱりドキドキとワクワクにはかなわない。


今年こそは、ずっと夢に見てきた甲子園に行きたい。

稜ちゃんの夢だった甲子園、そこに一緒に立ってみたい。


“甲子園に連れてって”


そんな大それたこと、わたしは一度も思ったことがないんだ。

だってそれは、自分たちのプライドを賭けて戦うものだから。

残念だけど、女の子が簡単に加われるようなものじゃない。

野球を愛する男の子たちのものだと思うから。


それを、わたしの稜ちゃんへの想いで汚したくない。

だから、野球にだけ一生懸命になっていてくれれば、わたしはそれで十分なんだ。

だけど、稜ちゃんたちのためにわたしにできることは何でもしてあげたい・・・・。


ねぇ稜ちゃん・・・・こんな考え、やっぱりおかしいかな?
 

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