白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
でも、思うんだ、わたし。

誰かのために戦うことも大事だけど、自分たちのために戦うことのほうがもっと大事なんじゃないかって。

もちろん、いろんな人に感謝もするだろうし、それぞれ想う人はいると思う。

でもね・・・・。


“自分たちのために”


やっぱりそれを貫いてほしい。


だからわたしは、大会の前は稜ちゃんへの想いを一時的に封印することにしている。

稜ちゃんと同じように、野球にだけ集中するんだ。

今年は春からいろんなことがあったけど、きっと大丈夫。

恋も忘れるくらい、野球にのめり込んでやるんだからっ!










そうこうしているうちに、あの時間───いつもの放課後の、部活の時間になった。


「・・・・よしっ!」


わたしはパンパンッ!とほっぺを叩いて気合いを入れた。

気持ちを切り替えて今日もマネージャーの仕事を精一杯しないと。

更衣室の鏡の前で、恋から仕事に切り替わった顔を再確認。

うん、大丈夫!

そうして、わたしは急いでグラウンドに向かった。
 

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