白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
「おぅ!マネージャー、今日も水汲みからな!」


グラウンドに入ると、稜ちゃんのそんな指示が真っ先に飛ぶ。

今日の練習メニューを笹本先生と相談していた稜ちゃんが、わたしを一番に見つけてくれたんだ。


似合いすぎるほどの真っ白なユニホーム、日に焼けた黒い肌がわたしをゾクゾクさせる。

そして、ニカッと笑ったときの白い歯と特徴あるかわいい八重歯。

いつ見ても胸がキュンキュン高鳴る稜ちゃんが、今日も変わらず目の前にいる。


「はいっ!」

「よろしく!」


わたしは稜ちゃんに満面の笑みを返した。稜ちゃんも笑顔を返してくれた。

恋の封印・・・・これじゃあやっぱりダメかもね。





それからわたしは、練習風景を眺めながらずっと考えていた。

・・・・最近の稜ちゃんがすごく変わったこと。

特に感じるのは、わたしが立ち聞きしてしまったあのときから。

あの雨の日、部室で岡田君に問い詰められていたあとから変わりはじめたこと。

またわたしの“現金なやつ”の出番が来てしまったんだけど、こう感じるんだ。
 

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