白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
前よりも稜ちゃんとの距離がぐんと近くなった気がする。

稜ちゃんは前よりも子どもっぽく・・・・幼いというか、素直な感情をよく出すようになった気がする。

前よりもわたしのことを見てくれるようになった気がする。

そう感じるんだ・・・・。


それには、電話やメールをくれたこと、駅ビルで手をつないでくれたこと。

自転車の後ろにもよく乗っけてもらうようになったこと。

それから・・・・【稜貸し出し券】、それもくれたこと。

そういうことが、わたしを“現金なやつ”に変身させる原因になっていた。


“もしかしてこれって、わたしのことを好きだからしてくれたことなのかな?”

そんな都合のいいことばかりが頭の中を駆け回るんだ。

“稜ちゃんがわたしを好き?”

そんな奇跡みたいなこと、実際にありえるのかな・・・・。

そして、いつもここで頭の中がごちゃごちゃになる。



そんなわたしは、思い切って聞いてみることにしたんだ。

ズルいことをしているのは十分承知だけど、どうしても分からなくて・・・・だから知りたくて。
 

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