白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
・・・・無理もないよね。

人づてに告白の返事を聞くようなものなんだもの、声が震えてたって仕方がないよ。

岡田君は何と言おうか言葉を選んでいる。すごく困った顔・・・・。

聞かなきゃよかった、って、その顔を見て今さら後悔が押し寄せてきた。

ゴクリと飲み込んだ唾が喉にくっついて、妙にうざったい。


「・・・・やっぱいいや。ごめん、忘れて? 岡田君」


次に来る言葉に怖くなって、わたしから聞いたくせに自分で話を終わらせてしまった。


「・・・・お、おぅ」


岡田君は少しだけ眉をピクンとさせて、小さくそう言った。


「本当にごめんね、変なこと聞いちゃって・・・・。わたしにもバット貸して? 磨くの手伝うよ」


わたしがそう言うと、岡田君は無言で違うバットを差し出した。



それからのわたしは、自分の顔が写るんじゃないかというくらいに何本も何本もバット磨き続けた。


違う!

ダメ!

のぼせ上がっちゃダメ!

期待しちゃダメ!

予選・・・・そうだ!

予選に集中しなくちゃ!
 

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