白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
そんな、いつも助けてもらってばかりのわたしにも、少しだけ心の変化があった。


“稜ちゃんがわたしをどう思っているのかは大きいことじゃない”

“わたしが好きだから・・・・だから好きでいたい”


そう思えるようになった自分が、ちょっとだけ好きになれた。

・・・・調子に乗っているみたいで恥ずかしいけど。





そして───・・


そして、わたしたちの最後の熱い暑い夏がとうとう幕を開けた。


開会式。

メイン球場になる県営野球場に80校近くの野球選手たちが一堂に会し、それぞれに校章や校名の入ったユニホームを誇らしく着ながらの入場行進。

吹奏楽部による生演奏が、選手たちの行進に花を添える。

スタンドは、開会式を見に来た地元の高校野球ファンやたくさんの学校の生徒でほぼ満員。

拍手や歓声の中、わたしもほかの部員たちと並んで開会式を見守っていた。


青雲高校の校名がアナウンスされると、一緒に開会式に参加してくれた応援団たちが太鼓をドドドドンッ!と打ち鳴らし、わたしたちは割れんばかりの拍手を送った。
 

< 290 / 474 >

この作品をシェア

pagetop