白球と最後の夏~クローバーの約束~
「もう野球はしたくないって言えば嘘になるけど、後悔はしてねぇよ。稜の前では、俺はピッチャーの俺のままでいたいから」
「そっか・・・・」
初めて聞いたよ、岡田君が野球をやめた本当の理由。
ほかのポジションじゃ嫌だっていう気持ちも、なんとなくだけど分かる。
キャッチャーの稜ちゃんがいてこその、ピッチャーの岡田君だったんだね・・・・。
わたしは、小さくなっていく稜ちゃんの背中を目で追いながら、マウンドでバッテリーを組む2人の姿を想像してみた。
・・・・うん、思い浮べなくても、すごくキラキラしてる。
「アレと一緒」
「ん?」
すると、そう言った岡田君がニヤッと笑って、指でクイクイとわたしを呼んだ。
そして、耳元でこう囁く。
「相性のいいエッチとおんなじ」
ひぃぃっ・・・・!
せっかくいい話をしていたのに、その口でエッチなことを言う岡田君。
わたしは思わずバッ!と耳をふさいでしまった。
色気たっぷりに真っ昼間からそんなことを言うから、ビックリしたってもんじゃないっ。