白球と最後の夏~クローバーの約束~
今の岡田君の話からすると、仲が悪くなったようには聞こえなかったんだけど・・・・。
「バッカじゃねぇの? なんで俺が稜とケンカなんてすんだよ。する理由がねぇのにできるわけねぇだろが。ばぁか!」
岡田君は“何当たり前のことを聞いてんだ”とでも言いたげな感じで、おまけに2回も“バカ”と言った。
「そっかぁ、よかった・・・・」
2回の“バカ”はスルーして、とりあえずほっと胸を撫で下ろしたわたし。
・・・・本当、ケンカしてなくてよかった。安心した。
「稜にカマかけただけ」
すると、安堵のため息をもらすわたしに、岡田君が意味深なことを言う。
「・・・・カマ?」
なんのこと?
「おっと・・・・開会式見ねぇとな」
「・・・・?」
そして、はぐらかされた。
“カマをかける”って、どんな意味だったっけ?
それでもめげずに頭をひねっていると、そのうちに岡田君は開会式に目を戻してしまって。
・・・・これじゃあ「どういう意味なの?」なんて聞ける雰囲気じゃなくなってしまった。