白球と最後の夏~クローバーの約束~
岡田君の意識は、もう開会式の様子にどっぷり・・・・。
意味を聞くタイミングを逃したわたしは、岡田君と同じように開会式を見ることにした。
・・・・仕方なくだけど。全然しっくりこないけど。
でも、それからの開会式は、心が揺さ振られる素晴らしい開会式だった。
特に選手宣誓のときの台詞がぐっと心に響いてきて、すごく感動的だった。
『それぞれの高校の誇りと名誉をかけて、最後の1球まで全力で戦うことを誓います!』
『このマウンドに送り出してくれた全ての人に感謝し、恥じることのない試合をすることをここに誓います!』
今年の夏で最後だからなのかな。
大役を任された緊張で少し声を震わせながら一生懸命に宣誓をする選手に、わたしは余計に胸を打たれた。
きっと、この会場にいる人全員の心にも、しっかりと響いたんじゃないかな。
・・・・そう思うな、わたし。
わたしたち3年生にとっては最後になった開会式。
その開会式の模様全体は、まるでどこまでも広がる夏の青い空に拍手と歓声が吸い込まれていくようだった。