白球と最後の夏~クローバーの約束~
開会式の雰囲気にすっかり感動したわたしは、式が終わる頃にはもう、これからのことしか考えていなかった。
“カマをかける”の意味を考えたり、岡田君に聞いたり、それも頭から抜け落ちていて。
ただ、これから繰り広げられる各試合に胸を踊らせていた。
学校に戻って部室でミーティングをするときでも、わたしの頭は初戦の相手のことばかりで。
それほど試合のことで頭がいっぱいなものだから、気合いの入り方は半端じゃなかった。
青雲高校の初戦の相手は、開幕試合で勝ったほうの学校・翔南高校に決まった。
シード権で2回戦からの戦いになった青雲は、組み合わせで大会3日目・県営球場での第4試合に決まっていた。
部室に集まった部員全員に、笹本先生が檄を飛ばす。
「お前ら、開幕試合を見て分かったと思うが、相手は守備が弱い。攻撃的に仕掛ければ必ず大量得点できるはずだ!」
「「「はいっ!」」」
一斉に部員たちが返事をする。
「お前らの実力だったら負ける相手ではけしてない!勝って波に乗るぞ!いいか!」
「「「はいっ!」」」