白球と最後の夏~クローバーの約束~
笹本先生が熱くなれば、みんなも負けずに熱くなる。
初戦の前の気合いの入りようはわたし以上・・・・並大抵のものじゃない。
部室が壊れるんじゃないかと思うほどの、すさまじいものだった。
そうして気合いが入りまくりのミーティングは進んでいき、そろそろそれも終わりが見えてきた。
すると、最後に笹本先生がわたしと岡田君に“前に出てこい”と合図をした。
緊張しながらおずおずと前に出ると、先生はぐるりと部員たちを見回して、それからゆっくりと口を開いた。
「今までお前らが部活にとことん打ち込んでこられたのは、マネージャーたちの支えがあったからこそだ」
そこで言葉を区切る先生。
わたしも岡田君も、稜ちゃんやほかの部員たちも、静かに次の言葉を待った。
「花森はお前らのためにいつも走り回ってくれた。・・・・まぁ、ヤカンを毎回落とすのは難点だが」
「先生、それは・・・・」
いいことを言って褒めてくれたかと思えば、この落差の激しい突き落とし。
先生は、苦笑いを浮かべるわたしを見てニヤリと笑った。