白球と最後の夏~クローバーの約束~
 
どこか変じゃない?


「せ、先生・・・・?」


そう思って、意気揚々とグラウンドに向かおうとする先生を恐る恐る呼び止めてみたわたし。


「なんだ花森、お前もノックしてみるか? 気持ちいいぞ?」


そう勧めてくる先生は、もうすっかり野球少年の顔に戻っている。


「いえ・・・・あの、まだ授業中・・・・なんですけど」

「なにぃぃ〜っ!?」


そう叫んだ先生は、腕時計に目を落とし時間を確認する。

・・・・そうなんだよね。

まだ5時間目の途中だし、6時間目もあるんだよね。


「しまった!おいっ、お前ら、早く授業に出ろ!」

「「「・・・・えぇぇっ!」」」


そう言って一目散に校舎へ走っていく先生の後ろ姿に、みんな一瞬唖然とした。

それから徐々に失笑と爆笑に変わって、最後には大ブーイング。


「何やってんだよ、先生〜!」

「マジかよ〜!」

「あれで本当に先生なのかよ〜」


・・・・とかね。

そういうかわいいブーイングで、先生のお茶目なところをみんなで笑った。
 

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