白球と最後の夏~クローバーの約束~
一瞬にして、わたしの耳と目は稜ちゃんの背中に釘付けになる。
そんな妄想をしないなんて、とてもじゃないけど無理ってもの。
顔だって自然とにやけちゃう。
すると・・・・
「花森、鼻の下伸びてるぜ? うっとりすんな、バカマネが!」
わたしの頭の上のほうでブツブツと岡田君が小言を言う。
はうっ。
岡田君の皮肉パンチがみぞおちにクリーンに入った・・・・。
で、でもっ!ここは負けない!
「うっさいなぁ、もう!分かってるよ、それくらい。このエロマネがっ!」
いつまでも遊ばれてたまるもんかと、蛇のようにシャーシャー言いながら反論した。
「ふん。エロくて結構、本望だ」
でも、岡田君は一枚も二枚も上手なようで、わたしの渾身の皮肉パンチは悲しいかな見事にかわされてしまった。
「そんなことより稜がさっきからずっと見てるぜ? いいのか?」
「えっ?」
しまった!稜ちゃんが見ているなんて思わなかった・・・・。
「ばぁか!誰も見てねぇよ、花森なんか。さっ、俺も早く行こ」