白球と最後の夏~クローバーの約束~
はっとして口をつぐむわたしに、さらに皮肉を重ねる岡田君。
むっきーっ!
また岡田君に騙された。
そそくさと部室を出ていくこの背中、なんて憎たらしいんだろう。
まったくもー!
そんな文句を心の中で思いっきり言っていると、いつの間にか部室は静かに。
あっ、そっか。
みんなもう、授業に行っちゃったのか・・・・。
膨れっ面をしぼませてふっと顔を上げると、そこには少しムッとした稜ちゃんの顔。
「早く出てくんないと鍵閉めらんないんだけど。マネージャーで最後だし」
「あ、ごめん・・・・」
どうしよう、しばらく見ていなかった怒った顔。
岡田君と言い合っているところ、やっぱり見てたんじゃ・・・・。
ずんずん近づいてくる稜ちゃん。
わたしは、カチコチの置物のように動けなくなった。
こういうときの稜ちゃんは、あまり顔には出さなくても心はすごく怒っているんだ。
声もぐんと低くなって、稜ちゃんじゃないみたい・・・・。
「岡田といるときは楽しそうだよな、マネージャーって」