白球と最後の夏~クローバーの約束~
1時間、ぼーっとしっぱなしだった生物の授業が終わって、そのあとの掃除の時間。
校舎裏のゴミ捨て場に行く途中、ココちゃんにさっきの部室でのことを話していたときだった。
ココちゃんが断言した“好き”に飛び跳ねたわたしは、持っていたゴミ箱をひっくり返してしまったんだ。
ココちゃんはサッとしゃがんでゴミを拾ってくれているけど、わたしはつっ立ったまま固まってしまって。
だって・・・・
だって、稜ちゃんがわたしを“好き”って言うわけないし、思うわけない。
わたしは自分に自信がないんだ。
男の子に好きになってもらえるような女の子じゃ・・・・ないもん。
「まぁた前の百合に戻ってるよ。いい加減なんとかしなよ、その暗〜い発想」
「・・・・」
「梅雨はもう終わったのに百合の周りだけジメッとしてるよ? これじゃあキノコも生えてくるわけだよ、まったく・・・・」
つっ立ったまま、しゃべらないし動かないわたしをキッ!と見上げるココちゃん。
そう一喝しながら、特大の長い長いため息をついた。
「だって・・・・」