白球と最後の夏~クローバーの約束~
“いい加減にしろ”と言われてもそう簡単になんとかなるものじゃないよ。
だって、17年間連れ添ったこの性格だもの・・・・。
「“だって”なによ?」
ココちゃんはゴミを拾う手をいったん休めて、もう一度わたしを見上げた。
「こんなわたしのどこに好かれるポイントがあると思う?」
わたしはココちゃんにすがるような目を向けた。・・・・知っているなら教えてほしい。
「はぁ。少なくとも今の百合にはそんなポイントなんて1個もないと思うよ。残念だけど」
「・・・・」
「どうしてもっと自分に自身が持てないかな。見ていてじれったいよ、百合と長谷部君。・・・・さっ、早くゴミ捨ててこよ? 部活遅れちゃう」
「・・・・」
わたしがメソメソしている間に、ココちゃんは散らばったゴミをゴミ箱に戻していた。
そして、わたしの手を引いてずんずん歩きだした。
ココちゃんにこうして手を引かれるのは、これで一体何回目なんだろう・・・・。
足が止まりそうになると、いつも助けてくれる。
ココちゃん、ごめん。