白球と最後の夏~クローバーの約束~
「ねぇ百合、あさってが初戦なんでしょ? そんな顔で部活も試合も出たら、みんなのやる気も下がるよ?」
「・・・・うん」
「あとでいっぱい話聞いてあげるから、大会の間は元気な百合でいな? いい?」
「うん。・・・・頑張る」
「よし、頑張れ!」
そうだよね、もう大会が始まったんだ。今日から始まったんだ。
わたしがこんなんでどうするの。
みんなは試合前で緊張しているのに、わたしだけ自分のことでヘコんでちゃいけない。
高校最後の夏だよ、今しか甲子園に行くチャンスがないんだよ。
「ココちゃん!」
わたしは、そう気持ちを入れ替えてココちゃんに声をかけた。
「ん?」
「わたしのウジウジした気持ち、ゴミと一緒に燃やすよ!手伝ってくれる?」
そう言って、振り向いたココちゃんに特大の笑顔を見せた。
「百合、よく言ったよ!じゃあ、このゴミ、盛大に燃やそ!」
「うん!」
わたしを見たココちゃんは、力強くて優しい笑顔を返してくれた。
大丈夫。
わたしはもう、大丈夫。